『サスペクト・ゼロ』20点(100点満点中)
宣伝の人も大変です
プロファイリング不能な恐るべきシリアルキラーと、それを追うFBI捜査官の戦いを描いたサスペンス映画。“サスペクト・ゼロ”とは特定の犯行パターンを残さず、捜査線上に決して上がらない究極の連続殺人犯の事。
連続殺人犯の不当逮捕が原因で左遷されてきたFBI捜査官の前で、続けて3件の猟奇的殺人事件が起こる。まぶたを切り取り、ゼロの刻印がなされた死体。原因不明の頭痛に悩まされながらも捜査を続ける彼の前に、差出人不明のFAXが次々送られてくる。そこには犯人のヒントが記されていたのだが……。
CMやら予告編では、あの名作『セブン』を超えたとか、衝撃の結末とか宣伝されているが、すでに見終わった側からアレを見ると、内容とのギャップに苦笑してしまう。これは宣伝しにくい部類の映画だろう。彼らの苦労が窺い知れる。
『サスペクト・ゼロ』は、ストーリー紹介からは「羊たちの沈黙」をはじめとする“プロファイリング系FBI映画”、とでもいうべきジャンルの作品かと思われがちだ。しかし実際は、現実にあったとされるある出来事とフィクションをリンクさせたオカルト映画だ。
サスペンスとして“意外な結末”をウリにしたいのならば、終盤明らかになるこの映画の非現実的な設定はあくまでトリックやオチの驚きのための道具として扱うべきだった。その設定自体を「すごいでしょ?」などと見せられても、「どうせ作りごとじゃねぇか」で終わりだ。だれも驚きなどしない。そう言う意味で、このオチにはひねりが無い。
この設定に悩まされる男たちの物語としてみても、ネタ自体が使い古されたものなので新味が無い。全編ボボ〜っと低い周波数の効果音が流れているせいか、とにかく眠くなる一方だ。これじゃどうにもいけませんな。