『ステップフォード・ワイフ』60点(100点満点中)
男性の理想、女性の理想、そのギャップがコメディになる
アイラ・レヴィン(「ローズマリーの赤ちゃん」)の原作を、1975年に映画化(日本未公開)したもののリメイク。現代にあわせた内容にすべく、ストーリーに大きなアレンジが加えられている。
ある不祥事でクビになったショックから立ち直れないテレビプロデューサー(ニコール・キッドマン)。彼女を癒すため、夫は理想的な町ステップフォードへ引越しを決意する。そこでは女性たちはすべて貞操な妻であり、男性たちは一家の主として威厳を保っている。夫はすぐに町のコミュニティに溶け込むが、不自然なまでに理想化された町の姿に、彼女は違和感を感じはじめる。
この作品は夫婦の理想的なあり方というものを皮肉ったブラックコメディであり、意外な結末をもつスリラーでもある。異常としか思えない犯人が登場するが、その理屈になんとなく納得してしまう自分自身に対し、思わずぞっとする恐怖を味わえる。
ハリウッドのトップスター、ニコール・キッドマンは今回髪をばっさり切った姿がキュートで、激しくスピーチする冒頭の場面から目を離せない。クールなイメージをちょいと覆す役柄で、意外性を感じさせてくれる。『ステップフォード・ワイフ』は米国では、彼女の出演作としては最高のオープニング成績を残した。大人がみる娯楽映画として、そこそこ楽しめる点が好まれたか。
75年版とは、サスペンスとしての見せ場を大きく変更してあるが、理想の男女関係についての互いのギャップといったテーマは不変だ。男性がこの映画を女性と見ると、「男ってこういうのが望みなの?」といった話で鑑賞後に盛り上がれるだろう。そこでどう答えるかで、その後の彼女との関係が決まるのだ。ああなんと恐ろしい。
結構お金をかけて作っているから、映像面での見せ場も多い。娯楽面を重視した気楽なつくりなので一人で見るよりは、やはりカップルにオススメしておこう。