『着信アリ2』30点(100点満点中)

安直続編に見るべき点なし

柴咲コウが主演して興行収入15億円のヒットを記録した現代ホラーの続編。一応話は続いているが、キャスト・スタッフを一新し、このPART2から見ても、そこそこ楽しめるように完結させたつくりになっている。

ヒロイン(ミムラ)は彼氏(吉沢悠)のバイト先の中華料理店で、薄気味悪い着メロを耳にする。やがてその携帯の持ち主が変死をとげ、彼らは1年前に世間を騒がせた「死の予告電話」事件が再び始まったことを知る。やがてヒロインの携帯にもそのメロディが流れ、二人は事件を追うルポライター(瀬戸朝香)と協力し、なんとか彼女の命を救おうと試みるが……。

前作は、携帯電話やテレビ番組、踏み切りといった身近なアイテムや舞台を最大限に利用し、徹底的に「いまどきの若者」を怖がらせる演出が受け、大ヒットした。ある程度の商売が計算できるこの続編は製作費も増えたのだろう、台湾ロケまで敢行して話を海外にまで広げている(前作がアジア各国で売れたから、という意味もあるのだろうが)。

しかし、結果的にはホラー映画としてはこれがマイナスとなった。前作最大の武器だった「身近な恐怖」から離れてしまい、怖さが薄れた。クライマックスとなる炭坑の場面も、似たようなバックを俳優がいったり来たりしてダレまくり、なんだか盛り上がりに欠ける。

だいたい「死の予告着信を受けたら死ぬ」というアイデアだけで2本も3本も映画を作れるものではあるまい。同じことの繰り返しじゃ、怖さも面白さも激減だ。少しは新しいアイデアはないものか。登場人物に関するある仕掛けも、仕掛けと呼べるほどのものではなく、驚きはない。

こうした安直な続編がうけるようだと、次もこんなのが作られる。せっかく日本のホラー映画は世界的に評判がいいのだから、もっと企画を煮詰め、少しは見られるモノを出してきてほしい。



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