『エイリアンvs.プレデター』80点(100点満点中)
中盤からの心踊る展開に拍手喝采
恐るべき繁殖力と酸性の血液が特徴のエイリアンと、高度な科学力と運動能力、高い知性が特徴のプレデターという二大異星生物が対決するアクションSF大作。どちらも高い人気をもつシリーズ映画だが、その主人公(?)同士が激突するという、両ファンには夢のような企画だ。
2004年、南極大陸。ウェイランド社の人工衛星がその地下に大量の熱源があることを察知した。社長のチャールズ・ビショップ・ウェイランド(ランス・ヘンリクセン)は、民間のスペシャリストを召集し、調査にあたることを決定。やがて地下施設は人間以外の知的生命体による建造であるとわかるが、そこには謎の生物の卵も大量に生みつけられていた……。
プレデターがある目的のために作った地下ピラミッドに、あわれ人間たちが迷い込んでしまうという話だが、詳しくはいえないものの本当によくできたストーリーだ。エイリアンとプレデターがなぜ戦い、そこにどう人間が絡んでいくのか。簡単そうで難しい脚本作りだったと私は思うが、製作者が長い間に何本もの脚本案を却下してまで待っただけあり、本当にすばらしいアイデアだ。
基本的には両シリーズのファン限定の映画だ。さらにいえば、『エイリアン』よりは『プレデター』ファンの方が喜ぶであろう。ウェイランド社長の名前や役者をはじめ、ファンが喜びそうな小ネタがいくつもあってニヤリとさせられる。内容は怖さより楽しさを重視したアクションホラーで、戦闘シーンはエイリアンもプレデターも重量感をしっかり感じられるほどのド迫力。存分に楽しめる。
数カ所、猛烈に突っ込みたく部分があるにはあるが、そのことばかりを考えていると楽しめないのでスルーしたほうが良い。また、それほど気にならない程度の齟齬だから、たいした問題でもなかろう。
それにしてもファンにはたまらないこの100分間。SFホラー界最大のスターである両者の、あまりにも大きく期待された対決だったが、ここまで上手く作ってもらえれば文句はない。例によって対決の結果や結末については一切のヒントも書かなかったつもりだ。私は『AVP』を、一刻も早く両シリーズのファンに見てほしいと思っている。