『誰にでも秘密がある』40点(100点満点中)
イ・ビョンホンを見れればそれでいいという方なら
放映中のドラマ『美しき日々』(何度聞いても主題歌が笑える)で競演中の韓国スター2人、イ・ビョンホン&チェ・ジウによるちょっとエッチなラブコメ。
美人3姉妹の末妹(キム・ヒョジン)は、お金持ちのイケメン(イ・ビョンホン)に一目ぼれ。猛烈なアタックで見事ゲット……したかに見えたが、彼はさらに上を行くプレーボーイだった。女性に愛を与える事が生きがいの彼は、学問一筋でいまだ処女の次女(チェ・ジウ)や、セックスレスで女を忘れかけている人妻の長女(チュ・サンミ)にさりげなく近づき、そのハートをがっちりとつかんでしまう。
お気楽な音楽と多数のテレビスターのいつもどおりの演技が楽しめるラブコメ。ちょっぴりのエッチ風味を控えめなお笑いで照れ隠ししたような、なんとものんきな一本だ。
物語はまず、末女とイケメンが婚約するまでをさらっと描く。ところがその裏で、新郎のイ・ビョンホン氏はいったい何をしていたか? 同じ時間軸のドラマを別視点から3度描くという構成によって、徐々にその事が明らかになる。同じシーンが繰り返されるたび、そこに隠された「秘密」が明らかになっていくというヤツだ。
まず女優陣を見てみると、メインのお相手のはずの末女はまるで存在感がないし、人妻長女にも“恋から離れつつある女”が燃え上がる過程のセクシーさが感じられない。そして、最も注目される“年増の処女”チェ・ジウは、見るからにウソくさい演技と役作り、そして後半はすっかりいなくなる脇役ということで魅力が薄い。
むしろ、3人の相手ごとにまったく違ったジャンルのパーフェクトボーイを演じるイ・ビョンホンの方がメインという、これは要するに“女性向けアイドル映画”なのだ。彼のファンが見れば、何しろドラマ3本分のお楽しみがあるのだから、そこそこお徳感もあろう。
ただし、ギャグもストーリーも平凡で、濃厚なHシーンがあるわけでもない。韓国内で何度も禁止令が出たセクシーなポスターは良いが、そのレベルのウットリする映像美があるわけでもない。韓国テレビドラマによくある、とっぴで笑えるストーリー展開があるわけでもない。ラストだけはちょっと意外でかつ意味深だが、説明不足ですぐにはわかりにくいので、見逃してしまう方も多かろう。
そんなわけで『誰にでも秘密がある』は、決して駄作ではないものの、あなたがビョン様ファンでない限り、あえて積極的にはすすめない。