『透光の樹』50点(100点満点中)

秋吉久美子の綺麗な裸は、ぜひ中年カップルにすすめたい

谷崎潤一郎賞を受賞した、高樹のぶ子の同名小説を秋吉久美子と永島敏行による濃厚なラブシーン満載で映画化。

舞台は古き町、金沢。主人公のCM制作会社社長(永島敏行)は、かつて思いを寄せた女性(秋吉久美子)と25年ぶりに再会する。彼女は変わらず美しかったが、借金と寝たきりの父に生活を圧迫されていた。援助を申し出る彼に彼女は、「私を買ってください」とこたえる。

援助交際オジサンオバサン版のごときオープニングが目を引く。元々大好きだった彼女をそんな形で抱くところから始まる不思議な恋愛のお話だ。文学作品の映画化らしく、心に残るすばらしい台詞があり、金沢の透き通る空気を感じられる美しい映像がある。それでもストーリー自体は一歩間違うと破綻しかねない荒唐無稽な内容だが、語り口がうまいため、退屈せず見ることができる。

この映画のいいところは、気品あるイメージのおかげで、熟年熟女のカップルでも安心して映画館に入りやすいという点。しかし実際の内容はR-18指定でエロエロ満載だから、この上なく実用的な作品だ。

秋吉久美子&永島敏行のセックスシーンは5,6回ほど登場する。秋吉久美子は、とても50歳とは思えぬキュートな雰囲気で、スタイルも良い。胸もお尻も整ったヘアも実に綺麗だ。2年ぶりのセックスという場面設定における、ベッド上の反応などは、相当にリアリティがあり驚かされる。さすがは、プライベートで26歳下の男の子とつきあっているだけの事はある。彼女を見ていると「恋は女性を魅力的にさせる理論」の正しさがわかるような気さえしてくる。

そんなわけでこの「透光の樹」、オトナのカップルが楽しむ映画としてならばオススメだ。特に、正規のお相手以外がいらっしゃる方などは、ぜひとも誘ってみてほしい。



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