『永遠の片想い』40点(100点満点中)
甘くて甘くてとろけちゃう
韓国若手スターによる純愛ドラマ。主人公の青年役は『猟奇的な彼女』でヒロインにどつかれる気弱な主人公を演じたチャ・テヒョン。
ある日主人公の元に、数年前、突然連絡が取れなくなった女友達から『会いたい』と書かれた一枚の写真が届く。彼女とその幼馴染の少女、そして主人公の3人は、当時男女を超えた親友同士として、かけがえのない日々を過ごした仲だった。
そこで映画は回想シーンに入り、美人二人と主人公の三角関係の思い出が本編として語られるという構成だ。非現実的で古典的なロマンチック路線を臆面もなく踏襲した恋愛映画。甘くて甘くてボクとろけちゃう。
いい年をした男子が、スタイル抜群の美人二人と一晩過ごしても何にも起こらないなんてストーリーを、チャ・テヒョンのキャラクターをもって強引に成立させている。彼は『猟奇的な彼女』での、気の強い女子に振り回される主人公の印象が強いが、そのイメージそのままで本作へ出演。『永遠の片想い』は、彼の心が美少女Aと美少女Bの間で揺れ動くという、わかりやすい恋物語となっている。
ストーリー上では、一応終盤までヒロイン二人の正体を伏せ、謎めいた存在として描いているが、二名が登場した瞬間から観客全員は「こいつら不治の病だね」と、とっくに気づいている。その“衝撃の事実”がいつ来るかー、いつ来るかー、とてぐすね引いて待っており、例によってお涙頂戴のクライマックスで「来たー!」と大喜びするという按配である。
幸いにもこの作品は、そこから一歩進んだひねりがあるので救われているが、その仕掛けとてさほどの必然性が無いため、大した効果を生んでいない。物語としては2流以下といっても過言ではなかろう。
とはいえ、同様の『冬ソナ』にハマったオバ……いや、奥様方には案外このストレートさが受けるかもしれない。実際試写室でもエンドロールの後までハンカチで涙を押さえていた女性(推定35歳)がいた。
いずれにせよ、日本ではエロゲー以外ではとても採用されそうに無いこの甘々な展開こそ、今の韓国映画らしさでもある。そう考えると、好きな人には案外オススメか? とも思えるのである。