『劇場版 ポケットモンスター アドバンスジェネレーション 裂空の訪問者 デオキシス』60点(100点満点中)

大人もOKの“ちゃんとした映画”だ

夏恒例の人気アニメ、ピカチュウ・ザ・ムービーことポケットモンスター劇場版最新作。前作がなかなかのヒットだったこともあり、力の入った出来となっている。

極地方観測隊の目前に突如隕石が落下、中からうちゅうポケモンのデオキシスが誕生する。そこに縄張りを荒らされ怒り猛るてんくうポケモンのレックウザが現れ、壮絶なバトルが始まる……。その事件の4年後、主人公のサトシとピカチュウご一行様は、観測隊隊長がデオキシス研究を行うハイテク都市、ラルースシティへ偶然やってきた。

4年前の事件に遭遇し、ポケモン恐怖症となっている少年トオイが、レギュラーキャラクターとの交流を通じ、徐々にトラウマを解消してゆく感動的なストーリーが核となっている。

冒頭、あらゆるポケモン総登場の場面で子供たちの心を引っつかみ、2大ポケモンの迫力バトルで大人の興味をもつかむ。その後は上記の友情物語を中心に、ハイテク都市の楽しいギミック、通常のポケモンバトル大会、密室閉じ込め劇、サバイバル脱出劇、仲間の救出劇と、それぞれ微妙に変化をつけた見所を続けて配置し、飽きさせない。子供が退屈しないよう、エンドロールの横にも、ラストシーン後のキャラたちの様子が写される。

このように、ポケモン最新作はいつもどおりサービス精神旺盛な子供映画であり、同時に大人も楽しめる良質なエンターテイメントとなっている。トラウマ少年に自分を触らせて治そうとするピカチュウは、なんだかいつもよりちょっと可愛い。

全世界で人気のシリーズだけに、普遍性の高いストーリーとなっている点が良いのだろう。映画版ポケモンは、大人と子供が一緒に楽しめるまっとうな映画として仕上がっている。いつもながら日本のアニメ業界は、子供向け作品を作るのがうまい。



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