『花咲ける騎士道』40点(100点満点中)
50年前の名作を前作ファン向けにリメイク
同名の痛快活劇を約50年ぶりにリメイク。プレーボーイの騎士が望まぬ結婚から逃げるため、上手く軍隊に紛れ込んだが、実はそれはある娘の策略だった……。彼ら二人の運命と恋の行方を、漫画チックかつ軽快に描いた娯楽映画。主人公の騎士、ファンファン・ラ・チューリップをオリジナルで演じたジェラール・フィリップは、若くして亡くなるまでフランスの国民的スターとして愛され続けた。
かつてフランスで大ヒットしたオリジナルの再映画化とあって、スタッフもキャストもなかなかの面々。日本人にも名の通ったところでは、ヒロインに招いたペネロペ・クルスが熱演をみせている。脚本と製作にはリュック・ベッソンが名前を連ねる。
エキストラも多いし、衣装も本格的で、それなりにスケールの大きな作品だ。……とはいえ、アクションシーンはCGなど一切使わぬ素朴なもので、チョコマカとうるさい音楽をバックにチープシックに繰り広げられる。このあたり、古き良き西洋の剣活劇の再現といったところだ。
戦争を”スポーツ”と呼ぶオープニングからわかるように、政治や戦争に対する風刺がたっぷり効いたコメディの一面もある。ヨーロッパ国別のマイナーな政治的ジョークなどもさらりと交わされるが、日本人の多くにとってはピンとこない部分も多かろう。
そんな事からわかるように、この映画は主にフランス人の”チューリップの騎士”ファンに向けて作られた作品。それでも、日本にもこの有名な作品のファンは、中高年を中心にいくらかはいるだろうから、新しい感覚で作られた新作を確かめに出かけてみるのも悪くはないだろう。