『ヒロイック・デュオ 英雄捜査線』50点(100点満点中)

突込みどころ満載で楽しい

『ラッシュアワー3』でハリウッド進出が噂されるイーキン・チェン出演のアクション映画。催眠術を使ったと思われる事件が発生。主人公の刑事は犯罪心理のエキスパートである元セラピストの服役囚の協力を得て解決にあたる。……とまあ、中途半端に『羊たちの沈黙』のレクター博士を思わせる設定が笑える香港映画である。

“催眠術”がメイン題材になっているこの映画の中では、実力ある催眠術師は、相手の目を見るだけでその人物を支配してしまうほどの非……いや、超科学的能力を持つ。犯罪に催眠術が使われたと聞いて、何の疑いも無く受け入れる香港警察が素敵である。

劇中、味方がある場所に閉じ込められるシーンがある。その小さな部屋がいったい何の目的でそこにあったのかはさっぱり不明であるが、それはともかく、主人公らはその小さな扉をこじ空けるのに四苦八苦するわけである。ところが、見ればわかるがそのドアにはガラスの小窓がついている。観客誰もが(お手持ちの拳銃で窓をお割りになってはいかがですか)と教えてあげたくなるあたり、心にくい演出である。

トリック撮影(?)が自然な仕上がりなので、アクションシーンはとてもユニークだ。すごい!というのではなく、面白い!と感じさせてくれる。この手のB級テイストあふれる香港アクションのファンなら、十分に楽しむ要素はあるだろう。そうでない人たちにとっては少々きついかもしれないが。



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