『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』60点(100点満点中)
シリーズのファンのみ見ればよしか
J・K・ローリングによる世界的ベストセラーのファンタジー小説の映画化第三弾。監督は変更になったが、背景世界の映像イメージは前二作と変わらない。あえていうなら、このPART3が一番地味なストーリーを持つといったところか。
音楽や美術は相変わらず素晴らしいが、3回目ともなればさすがに観客も慣れている。VFXに関しても、海上飛行の場面など、今時の映画にしては嘘っぽいチャチなシーンもある。魔法世界の映像化自体に驚くといった事は、もはやほとんどないだろう。
物語はどうかというと、今回はシリーズのヒロイン、ハーマイオニーが鍵を握る。序盤からさりげなく伏線が張られ、終盤に意外性のあるストーリーが展開するという楽しみは味わえるものの、いつもながらお話が動き出すまでが長い。
前半3分の2くらいは、例によってホグワーツ魔法学校での日常風景やら、新しい登場人物の紹介的なパートが延々と続く。これらは前二作でもやってきた事であるから、シリーズによほどの思い入れのある人以外はさすがに食傷気味か。私などは、もっとダイナミックなストーリー展開のハリーポッターを見たいと思うのだが。
ハーマイオニーが中心になる話ということで、ロンの活躍の場はほとんどない。終盤など、ほとんど主人公のハリーとハーマイオニーしか出てこない。
では、彼女を演じるエマ・ワトソンのファンなら大喜びかというと、彼らが崇拝する「制服姿のハーマイオニー」がほとんど出てこないのでちょいと微妙だ。くすんだ色のパーカー&パンツ姿のエマさんは、なんだか服装に無頓着なアメリカ人の旅行者みたいでいただけない。まあ、それでも美少女である事には変わりないのだが。
結論としては、「ハリーポッターシリーズの大ファン」のみが見ればOKといったところか。私としては、このままだと、そろそろこのシリーズ自体、一般の観客には飽きられてしまうような気がしてならない。