『シルミド』30点(100点満点中)

この子供っぽさが味か

1971年に実際に起きた事件をもとにした韓国娯楽大作。金日成を暗殺するために組織された特殊部隊が政府に裏切られ、やむなく反乱を起こすという悲劇。

この特殊部隊は、死刑囚などの極悪人を集めて組織され、シルミドという名の無人島で訓練される。「犯罪者として死ぬより、ボクたちお国のために英雄になるぞー!」と頑張る男たちだ。ああ、なんて単純な……なんて思ってはいけない。『シルミド』は、彼らに思いきり感情移入し、愛し、その死に様に怒り狂い、涙するといった楽しみ方をするべき作品なのだ。それが出来そうにない人は、この映画のターゲットから微妙に外れている。

上映時間は2時間15分、とにかく長い。とくに後半はダラダラとしているし、おまけに何かとしつこい。これでもかと泣かせようとする、エセ悲劇的な演出がクドすぎる。泣きどころでは露骨に悲しげな音楽が流れるものだから、いいかげんにあきれてくる。

それにしても、実在の事件をネタにしてこんなお涙頂戴映画を作り、しかもそれが韓国映画史上空前の大ヒットなどと聞くと、なんともやれやれといった気分になる。別に作るのは勝手だが、いくらなんでもウケすぎである。1200万人が見たなどというのはさすがに異常ではないか。

戦闘シーンも思ったよりチープだし、韓国映画に慣れていない人は脇役陣の顔の区別もつきにくい。それでもあえて韓国人以外の誰かにすすめるとするならば、軍人特有の深い友情に涙できる人、どんなにアホらしくても物語に入り込める人、そして最後にダメ映画大好きな人であろう。



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