『21グラム』50点(100点満点中)

凝ったプロットの必然性が感じられない

出会うはずのなかった3人の人生が、心臓移植というひとつの出来事をきっかけに絡みだし、意外な結末を迎えるという人間ドラマ。ショーン・ペン、ナオミ・ワッツといった演技派の役者が出演する。

それぞれの場面を細切れにし、時間も場所もばらばらに並べるという変わった趣向のため、何気なく見ると最初は混乱する。観客は、頭を使って自分の脳内でそれぞれの人物たちのドラマを構成して見なくてはならない。やがて結末が近づいたころ、ようやく今まで「???」だった各シーンの意味がわかるという仕組みだ。集中力が必要な映画だから、睡眠不足の人には勧めない。

それにしても、このプロットにはあまり必然性が感じられない。「ある特定の事件が、一見無関係の人々の運命を結びつける」というお話は意外とありがちだから、見せ方を工夫したいというのもわかるが、これではただわかりにくいだけだ。この仕掛けによって結末の意外性を際立たせるとか、描きたいテーマを浮き彫りにするといった、何らかの目的があれば評価してあげたいが、そういう印象はあまり受けない。

表題の「21グラム」(なんでも、人間が死ぬと失うという“魂の”重さらしい。ホントかねぇ?)も、物語に深くかかわってくるわけでもなく拍子抜けだ。役者の演技はそれなりに見ごたえがあるが、逆にいえばそれだけの映画である。よほど興味のある人以外にはすすめにくい。



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