『レディ・キラーズ』65点(100点満点中)
普通に見れば面白い犯罪コメディ
55年の『マダムと泥棒』をリメイクした犯罪コメディ。何も知らない一人の老婆に完全犯罪を邪魔され、翻弄される泥棒たちの姿をシニカルに描く。主人公の知的な紳士(でも泥棒のリーダー)を演技派トム・ハンクスが演じる。
妙にクラシカルな趣味で、自称教授のインテリな主人公。彼をはじめとした強烈な個性のキャラクターたちによるセリフの応酬を重視したコメディだ。やや大人向きでシニカルな、このタイプのコメディを好む方にとっては、普通に笑って楽しめる。
カジノの金庫破りというメインストーリーの方もテンポ良く語られるので、途中でだれず一気に見ることができる。オープニングから見られる特徴的なカメラワーク等、異才で知られるこの監督(コーエン兄弟)のテクニックが垣間見える部分も多い。
とはいえ、『レディ・キラーズ』はむしろ、オリジナルやコーエン兄弟の作風など気にもかけない客層に向いているかもしれない。ドタバタしていない、落ち着いたコメディを見たいと思った人たちが、ふらっと映画館に入ってみたら「なかなか良かった」と思える、そんな映画というわけだ。そうした、あまり思い入れのない方にこそ、私はこれをオススメしておきたい。