『スイミング・プール』75点(100点満点中)

ヌードにばかり気をとられていると騙される

フランス、プロヴァンス地方を舞台にしたミステリ作品。この監督お気に入りの女優さんを主演に立てた、ちょっとセクシーな要素もある大人向けのドラマだ。

つい先日公開された『ピーターパン』の妖精ティンカーベル役が記憶に新しい主演のリュディヴィーヌ・サニエは、今回その印象をがらりと変えて、自由奔放なセックス感をもつフランス娘を熱演。惜しげなくそのグラマラスな裸体をさらしている。欧米の女優さんには珍しい(?)、ナチュラル巨乳がお見事。

だが、これらの激しい(修正つきの)ヌードシーンに翻弄されていると、監督が仕掛けた壮大なトリックにころっと引っかかるだろう。大胆なプロットには、ミステリに慣れた観客でも驚かされるはず。だまされる快感を十分に味わえるよくできた脚本だ。

もちろん、もう一人の主演女優シャーロット・ランプリングの存在感もさすがで、この二人の魅力だけで観客を引っ張っていけるほどだ。彼女にも、終盤にあっと驚かせるビックリな見せ場があるのでお楽しみに。

舞台はほとんど一軒の別荘とそこにあるプールだけだが、十分に作品世界の奥行きを感じさせる。狭い舞台と少ない登場人物で、これほど完成度の高い映画を作ってしまう監督の力には恐れ入る。

男性はもちろん、女性にもすすめられる、良質なミステリドラマだ。映画館で、思いっきりだまされてきてほしい。



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