『フォーチュン・クッキー』70点(100点満点中)

主演二人の魅力が成功の要因

母親の再婚を目前に気持ちがゆれるティーンエイジャーの娘と、その口うるさい母親が、ひょんな事から入れ替わってしまうコメディドラマ。『フリーキー・フライデー』(日本未公開)のタイトルで以前映画化された作品のリメイク。

設定からわかるように、明るくてほほえましい、マンガ的なコメディだ。若者の事など、見るからに理解できそうにない厳格ママと、ロックギターを愛するティーンの娘。彼女らが入れ替わってお互いの苦労を身をもって知るくだりは、ありがちではあるが笑える。

二人が徐々にお互いの立場というものを理解していくあたりは思い切り感動的に演出され、お客さんの期待を裏切らない。普通に笑って普通になける、定番コメディとしての体を成している。

また、『フォーチュン・クッキー』を見ると、コメディの成否は役者の力によるものが大きいと改めて感じる。この映画では、主人公を演じる二人ともたいへんな“芸”上手。豊かな表情やジェスチャーに注目してみてほしい。

安心してみていられるファミリー向けコメディとして、よくまとまった一本。こうしたジャンルが好きな方にとっては、この点数くらいの満足は得られるはず。安心してこの二人の親子愛に涙してきていただきたい。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.