『グッド・ガール』70点(100点満点中)
浮気というテーマに興味がある人にオススメ
低予算映画ながら、ブラッド・ピットの奥さんが主演して高い評価を得た作品。貧しい田舎町のショッピングセンターを舞台に、平凡な家庭の主婦をヒロインにしたドラマが展開する。
夫以外の男性二人が、彼女をめぐってすったもんだするが、3人とも”どこかにいそうな人”ばっかり。主演のジェニファー・アニストンは、もともと可愛い顔をした女優だが、彼女でさえ華のないメイクやヘアスタイル、洗練のかけらもないファッションのおかげで、見事に(?)田舎の地味な主婦になりきっている。そして、そんな彼らの行動や心情には、妙にリアルなものが感じられ、グイグイ物語に引き込まれるのだ。浮気する人間の行動パターンや心理というのは、どうやら万国共通らしい。
先ほど紹介したジェニファーの主婦姿なども、地味でいてどこか魅力を感じさせる。なんというか、男心をくすぐる雰囲気がある。これがはたして彼女の魅力なのか、演技力なのかは判断がつきかねるが、大したものである。この映画では、小さ目の綺麗なムネもちらっと見せてくれる。
物語は、先の読めがちなものではあるが、決して退屈はしない。恋のバタバタが、ちょっぴりスリラー風味となる最終局面。ヒロインが決断を迫られる場面の演出は、なかなか面白いのでお楽しみに。結末は、いろいろと考えさせられるもので、鑑賞後に心に残る。
リアルな雰囲気のドラマだが、随所にクスクスと笑わせるユーモアがあり、暗さは感じさせない。初デートでホテルの料金を女性が出す気まずさなど、地味ながら鋭い演出が心憎い。
これは、『浮気』という題材に興味のある人ならば、きっと楽しめるはずである。何より、少ない予算と登場人物で、これだけの映画を作れるということに驚かされる。