『真珠の耳飾りの少女』50点(100点満点中)
大人向け、かつフェルメールファン向けの特殊な映画
画家フェルメールの代表作『真珠の耳飾りの少女』(青いターバンの少女)の制作秘話を、フィクションで再現した作品。フェルメールの絵のように美しい映像で、ミステリアスな制作時の背景を見せてくれる。
この映画の格調を高めているのは、19歳の主演女優スカーレット・ヨハンソンの存在感。本物の青いターバンの少女を彷彿とさせる顔立ちと、憂いのある眼差しが忘れがたい。彼女は今年公開予定の超話題作『ロスト・イン・トランスレーション』の主演女優でもあるので、日本でもブレイクするかもしれない。
それにしても、本作に出ていたころの彼女はとても清楚な美少女といった感じだったが、実際は「カーセックスにあこがれる」だの「エレベーターでHした」だのと、とんでもないお騒がせ女優へと成長した。にんげん、見た目ではわからない。
映画のほうは、実在の人物と絵画をテーマにしたものなので、ある程度は教養が求められる。……というよりは、最初から美術ファン、なかでもフェルメール好きの方にのみ見ていただければいいと想定して作られたのではないかと思われる。
画家とモデルのもっともエロティックな瞬間は、アトリエを舞台に訪れる。最大の見所であるこのシーンのエロティシズムはまさに必見。そしてその味わいは、ある程度年齢を重ねた方こそわかる性質のものだ。