『ハッピー・フライト』60点(100点満点中)
30代のためのお気軽なデートムービー
さえない田舎町に生まれた女の子が、なんとか人生を変えたいとスチュワーデスに挑戦するコメディドラマ。人気女優主演の80数分のお気軽映画というわけで、細かいことは考えずに鑑賞するべき作品だ。
主人公の背景は冒頭の10分間でサラっと説明し、成功までの道のりもありえないほどトントン拍子、まったくストレスなく見ることができる。「そんなんあるわけねーよ」といわれればそうなのだが、すべてがそんな調子なのでバランスはよい。もともとこの映画にリアリティなどというものを求める人はいまい。
「成功のためには男を捨てるべきか?」という、都市で働く女性たちが悩みがちな、わかりやすいテーマを扱っているが、主演の女の子が親しみやすく、好感度たっぷりなので、同じ悩みを持つ女性ならずとも共感をもてるだろう。フェミニストへの安易な迎合をしていない点も現代女性にマッチしている。ターゲットとなる客層の求めるものを的確に把握しており、この時点で、「ハッピー・フライト」という映画はほぼ成功が決まったといえる。
脇役の教官役を務めるマイク・マイヤーズ(『オースティン・パワーズ』)らがふりまくギャグも楽しいし、健全なお色気もほどほどにある。劇中では聞き覚えのあるポップスが何度も使われ、この映画の主要なターゲットである30代女性にとって人気の高い、”あの”恋愛映画もチラっと登場する。
デートにぴったりの明るい映画だし、見れば「人生もう一度がんばってみようかな」という前向きな気持ちになれる。
やはり30代くらいの女性に人気があった日本のTVドラマ『スチュワーデス物語』をパクった字幕や、やや強引なラストシーンはご愛嬌だが、がんばる女性の姿に素直に共感できる『ハッピー・フライト』は、きっと多くの方が「案外楽しかったね」と思えるであろう一本である。