『ロスト・メモリーズ』10点(100点満点中)
韓国人が見ても引くだろうと思わせるほどの反日ドラマ
仲村トオル出演の、日韓合作近未来アクション。誰もがあらゆる点でぶったまげるであろう、2004年屈指の怪作である。
映画が始まると、いきなりCGバレバレのハンググライダー飛行シーンを見せられて観客はへたり込みそうになるが、主演の韓国人俳優の信じがたいほど壊れた日本語のセリフを聞けば、そんな心配は序章に過ぎなかったことに気づくはず。無理やり合わさざるを得ない仲村の姿が痛々しい。
朝鮮半島が戦後日本にずっと占領統治されていたという設定も豪快。反日的な空気が映画のそこここに漂い、思わず「オイオイ……」と引きそうになる。
一例として、南京大虐殺よろしく、いたいけな朝鮮人たち足で踏みつける、鬼のような日本人が登場する。女も子供も容赦無く撃ち殺し、爆弾でふっとばす。殺し方も、頭を打ち抜き、脳みそをぶちまけるという残酷さだ。
また、ほかの日本人兵士たちも、黒ずくめで怖いマスクをつけ、表情がわからないという、みるからに「悪」の様相で登場する。そして、やはり朝鮮人たちを虫けらのように撃ち殺してゆく。被害者たちが死ぬ場面はスローモーションと悲しげな音楽など、叙情的な演出で飾られる。昔あった『太陽にほえろ』の殉職シーンを思い出していただければいくらか想像はつくだろう。
「朝鮮人は気味が悪い」「わが大日本帝国が朝鮮などに侵されてもいいのか!」などといったセリフもバンバン飛び出し、観客の怒りが頂点に達したころ、ついに天誅が下されるという展開。
そんな韓国らしい、大味なドラマに目を奪われていると、突然物語がSF調に破綻、いや変化し、こちらを驚かせる。ここからはさらにトンデモ度が増し、たとえば主役の男の持つベレッタ(拳銃)など、後半は弾薬の交換場面一切無しだ。装弾数、恐らく1000発はくだらないだろうと思わせるその銃を、私は奇跡の銃と呼ぶことにした。
最初から最後までこの調子、実にとんでもない映画である。134分間、このノリに耐えられる日本人がどれほどいるか、興行成績が今から楽しみだ。私個人としては、類まれなギャグ作品として大いに楽しめたが。