『漫☆画太郎SHOW ババアゾーン(他)』30点(100点満点中)
前作の美点をことごとく失った
『地獄甲子園』の予想外の大ヒットに気をよくした関係者らが、さっそく作った漫☆画太郎原作漫画の映画化第2弾。
上のリンクをたどってもらえばわかるが、私は『地獄甲子園』のとき絶賛し、同じ監督のもとに映画化される今回も、大きな期待を持って試写に出かけた。
だが『漫☆画太郎SHOW ババアゾーン(他)』は、『地獄甲子園』(及び同時上映の『ラーメンバカ一代』)とくらべると悲しいほどにパワーダウンした。確かに笑えるところはあるが、その数は大幅に減った。むしろすべりまくりで、試写劇場にはお寒い空気が流れていた。何しろくどい。しつこいくらいに同じギャグの繰り返しなのに、最初の1回目からぜんぜん受けていないのだから、傷口を自ら広げているようなものだ。
今回は、『地獄甲子園』の併映だった『ラーメンバカ一代』の方とコンセプトを同じくするという事で、私はより期待していたのだが……。あの異様な凝縮感はなく、短編なのに長く感じる。テンポが悪い。
また、多用されるCGもそぐわない。この映画に、中途半端にこじゃれた映像など不要ではないのか? 正視にたえないくらい汚ないゲロを見せてこそ、漫☆画太郎ではないのか。製作費が増えるというのは、普通の映画にとっては間違いなくプラスだが、漫☆画太郎原作ものに関しては???である。前作の愛すべきチープ感が失われ、なんだかさびしい。安直にデジタル技術を使ってしまった事は、大きなマイナスだろう。とにかく、小奇麗になりすぎだ。
シナリオが悪いため、役者個人の”芸”に頼って笑わせる格好になったのもよくない。そういったやり方は、漫☆画太郎作品らしくはない。やはり、ストーリーで笑わせるという原点を忘れないでほしいと思う。もっとも、『ババアゾーン』の原作自体いまいちだったような覚えがあるのだが。
エンドロールに流れる歌もどうかなと思う。『セプテンバー』の替え歌はダンス☆マンがとっくにやってるし、新鮮味がない。
まとめとして、前作をみて期待していく人にとってはイマイチだし、はじめてみるなら『地獄甲子園』を私はすすめる。結局『漫☆画太郎SHOW ババアゾーン(他)』を積極的に見る理由は、かなり薄いといわざるを得ない。