『テキサス・チェーンソー』60点(100点満点中)
どこかで見た設定と思うなかれ
チェーンソーを持った殺人鬼に、若者たちが次々虐殺されるホラームービー。「ああ、よくあるお気楽系ホラーだね」と、誰もが思う設定である。
しかしこの『テキサス・チェーンソー』は、シャレにならないくらいに怖い。この手の殺人鬼もの、サバイバルホラーというジャンルは、たいてい怖いというより滑稽なものと相場が決まっており、出てくる奴ら(たいていセックスとドラッグにふける若者たち)が残酷な殺され方をするほど、観客は思わず笑ってしまうというような楽しみ方をするパターンが多い。
ところが『テキサス・チェーンソー』にそのような”遊び”は一切ない。この殺人鬼が実在した事を知らせるニュース映像が冒頭に流れたときから、映画は不穏な空気に包まれる。
最初から最後まで、ギャグやユーモアのかけらもない、とにかく「恐ろしいだけ」のショックシーンが続く。その緊迫感たるや、近年のホラーではまれに見るほどで、映画の中ほどからは、「頼む、こんなに怖いのはもういやだ、さっさと殺してこの恐怖から開放してくれ」とさえ思ってしまうほどだ。
もともとこの映画は、74年に公開され、ホラー映画史上最恐との声も高い『悪魔のいけにえ』のリメイク。これは、アメリカに実在したエド・ゲインという中年男による猟奇殺人事件を元に作られたドキュメントタッチの作品で、その後のホラームービーというジャンルに多大な影響を与えた問題作だ。未だに根強いファンも多い。
とはいえ30年近くも前の作品のリメイクであるから、前作と比べてどうこう言う事もないかな、と思う。『テキサス・チェーンソー』は、もとより『悪魔のいけにえ』を超えようと作られた作品ではなかろう。とくに強い思い入れのある人が前作と比べてみてしまうと、新作の魅力が堪能できないかもしれない。もちろん、『悪魔のいけにえ』を未見の人にとっては何ら心配は要らない。安心して(?)『テキサス・チェーンソー』の恐怖を味わおう。
さて、ホラー映画には可愛いヒロインが不可欠だと思っている私だが、それについてはこの映画、満点だ。殺人鬼と対決する女の子(ジェシカ・ビール)は、スラリとした長身に見事な巨乳を持ち、ヒップハングのパンツでおなかを見せて走り回る。彼女ときたら、これ以上ないだろうというくらい整った顔立ちで、私はすっかりくぎ付けになった。世の中にはこんなによくできた人間がいるものかとびっくりするから、ぜひ見てほしい。
見ていられるだけで大満足な女の子のかわいらしさと、見たくないけどつい見てしまうチェーンソー男の怖さ。二つの魅力を持ち合わせた『テキサス・チェーンソー』を今週はぜひどうぞ。