『N.Y.式ハッピー・セラピー』50点(100点満点中)
アメリカ向きに作られており、日本では難しいだろう
怪優ジャック・ニコルソンと、人気コメディアン、アダム・サンドラー共演のコメディドラマ。
アダム・サンドラー主演映画のアメリカでの集客力はすさまじく、いつも軽々と全米ナンバー1ヒットをゲットする。もちろん、彼のギャラもハリウッドトップクラスだ。そのわりに、日本での知名度は低いが、その理由は彼の映画が、常にアメリカ人向きに特化したつくりで、いわゆる内輪ウケのギャグも積極的に採用するという点にある。
そしてこの、『N.Y.式ハッピー・セラピー』もその例に漏れない。たとえばサンドラーの豊富な人脈による数多くのカメオ出演、これは彼の映画の特徴であり大きな魅力であるが、その多くは「アメリカ国内における有名人」だから、普通の日本人にはなかな感覚を共有できない。
各種ジョークも英語圏でこそ受けるものが多く、もともと字幕向きではない印象。今後もこの路線でいく限り、彼の映画が日本で大きくブレイクする事はないだろう。
そんなドメスティックなコメディである本作だが、だからこそツボにはまった人にはたまらない吸引力があり、根強いファンがいるのも事実。涼しい顔をしてお下劣なギャグを演じるサンドラーには、憎めない魅力がある。私もじつは彼の映画が大好きだ。
だから、100%は楽しめないことを承知で、この世界に飛び込んでみるのも案外悪くないと思う。それなり笑える映画だし、これだけハチャメチャやって、ラストでそこそこ感動させる豪腕ぶりには、きっと感心するはずだ。