『ブラザー・ベア』70点(100点満点中)

ディズニーらしい手堅い一本

ディズニーが送る春の新作アニメーション映画。ユーモアあふれるキャラ、教訓的なストーリー、感動的なラストと、いつもながら手堅くまとめた一品だ。フィル・コリンズによる音楽もなかなかだ。

ちょっと面白いと思うのは、ストーリーがアメリカ的な「正義・勝利のお話」ではなく、「赦しの物語」になっている点だろうか。憎むべき敵であるクマの姿に変えられてしまった人間の主人公は、クマさんたちと過ごすうち、彼らを理解するようになる。これは、クマと人間の関係を「対立する国家・民族・宗教」にたとえれば、そのまま反戦映画になるわけで、なかなか興味深い。

こういうネタは、アニメでやると比較的説教くささが薄れ、すんなり受け入れられる。ミュージカル風に途中で歌や踊りが入る展開も、アニメだと案外楽しめるものだ。真新しい要素はないものの、大人が子供たちを連れて見に行くならば、今週はこれを選ぶのが正解だ。

なお、エンドロールのあとのちょっとした一幕がなかなか笑えるので最後まで見よう。



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