『ペイチェック 消された記憶』75点(100点満点中)
見ごたえあるアクションスリラー
近未来を舞台にしながら、ミステリ的な謎解きをメインに据えたSFアクション映画。SFというとちょいとマニアックというか、一部のファン向けのイメージがあるが、『ペイチェック』はむしろスリラー&アクション映画としての印象が強く、一般のお客さんにもお奨めできる作品だ。
退屈な部分はなく、先が気になるストーリー展開は息をつかせない。せっかちな人に向く映画だ。特に、クライマックス以下の二転三転する展開は満足度が高い。キャストやスタッフをみる限り、お話の「中身」でうならせる映画だとは想像もしていなかったので、なんだか得をした気分だ。
たくさんのアイテムは、先の展開をいろいろと想像させる楽しみがあるし、それらを使っていく過程には伏線も多数ばらまかれている。数段構えのラストでそれらが一気につながるのを見ると、まさに拍手喝采したくなる気分。
もちろん、バイクや格闘などのアクションシーンは、アメリカ映画らしくカメラが動きまくって派手。この監督らしいおなじみの「お遊び」もちゃんと忘れていない。
近未来という設定もこのプロットのための必然だし、映画的なウソっぽさをあまり感じないつくりなので大人の鑑賞に堪える。そのへんのバランス感覚がよい。
それにしても、9200万ドルの報酬とはすごい話だ。私なら、どんなハイテク機械で記憶を消されても、そんな大金の事を忘れることなど絶対無い。しかしそうなると、この映画のお話は成り立たたない。弱った弱った。