『ゼブラーマン』40点(100点満点中)
全編ゆるすぎる作り
哀川翔、主演100本記念作品。今、週刊スピリッツでコミック版が連載されているヒーローもの。
ヒーローものといっても、哀川翔演じるさえない教師が、子供時代に憧れたテレビの『ゼブラーマン』のコスプレををしているうち、やがて町の犯罪者(?)と本当に戦うはめになり……というような内容。基本的にコメディとして話が進行し、最後にはちょっと泣かせます、というパターンだ。
私はコミック版連載をちらほら読んでいたが、大筋は一緒でもずいぶんと印象が違う。経験上、漫画版を先に読んで期待していくと、外す確率が高いだろう。漫画版は普通に面白いが、映画版はアクが強い。まず、説明不足であるから、あらゆる場面で「なぜ???」の連続だ。原作を読んでいない人が見たら、ただのナンセンスドラマかと思ってしまう。
これを楽しむためには、ギャグがすべろうが、キャラクターたちがあまりに突飛な事をし始めようが、とにかく1分でも早くこの世界に慣れ、入り込むしかない。余計なことは何も考えず、どんな理不尽が目の前で起きても、疑わずに入り込めばなんとかなるだろう。
VFXもアクションシーンもお涙頂戴も、低予算の悲しさか、ショボイの一語につきる。本当は、笑うべき場所では思い切り笑わせて、アクションは本気でびしっと決めるというメリハリがほしい。
それでも最後までこのゆるいムードでいくかと思うと、突然反核メッセージ的な主張が出てきて驚かせる。このテキトーな展開はいかがなものか。こうした作品ばかりポンポン手軽に生み出してしまう脚本家が、日本で一番人気があるのだという話を聞くと、本気で頭をひねってしまう今日この頃だ。