『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』70点(100点満点中)

シリーズのファンにとっては、出来がどうあれ、たまらない時間のはず

説明するまでもない、今年上半期最大の話題作。ファンタジー3部作の完結編だ。長い旅路に、いよいよ決着がつく。

この完結編を見にくる人は、1と2合わせて6時間もこの映画を見て、さらに3時間半近くあるこの3本目を見ようというのだから、もう準備万端整って、前座もなにも不要な人々ばかりだ。最初の1秒から、このファンタジーの世界に入り込む事ができるに違いない。

そのような思い入れの強いファンにとって、この最後の3時間半は珠玉のように感じられよう。1年ぶりに見ても、この圧倒的な映像体験は”最高”というほかはない。暗い映画館の中で完璧に作り上げられるロード・オブ・ザ・リングの世界は、この上なく居心地がよい。

あまりに有名な小説の映画化なので、ストーリーよりも「この小説世界を体験する」事に期待を抱くファンも多いだろうが、そうした人々が違和感を感じる点は、今回もほとんどないといって良い。

なんといっても、Part3ともなれば、よほどのファン以外はとっくのとうに振り落とされている。わざわざ長大な完結編を見に行く人は、何を言ってもどうせ見るのだから、こうした事前レビュー自体にまったく存在意義がないわけで、ちょっと寂しい。まあ、我々批評家やライターにとっても、こうした特別な作品の場合は余計な色気など出さず、「ぜひ最後の一本を堪能してきてください」とだけ書いておくのがマナーというものだろう。

それでも私からアドバイスすることがあるとすれば、間違っても『王の帰還』から見てはダメということだけだ。あとは、席につく前にトイレに行って、ゆったりと見てきて頂きたい。指輪をめぐるフロドたちの最後のやりとりには、感涙必至ですぞ。



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