『リクルート』50点(100点満点中)

主人公の新入社員(?)になりきって楽しむといい

CIAの新人採用と育成をテーマにしたサスペンス。新入社員(?)採用から教育まで、CIAの内幕がわかる興味深い一本だ。

前半は、かの組織がどうやって新入社員を採用し、育てるのか、その過程をじっくり見せてくれる。よく考えると絶対あるわけないようなムチャクチャぶりなのだが……いいや、スパイたちはこんなにも厳しいOJTをきっとやっているのだ! 何しろ本物のCIAの広報部が、「映画史上、もっとも正確にわが組織を描いた作品だ」とまで語ったんだから、ここは彼らを信じきって見るとしよう。

純情な主人公のコリン・ファレル君は、同期入社の女の子に一目惚れ。ムフフな社内恋愛を成就させるため、労働基準法無視のひどい研修にだって耐えたのに、鬼上司(A・パチーノ)から与えられた初仕事は「彼女を裏切れ」。ああ、何という理不尽! おまけになんだか変な事件に巻き込まれ……ここから映画は急展開を見せる。

サスペンスとしての出来は平凡だが、二転三転する意外な結末はなかなか。なにより題材選びが面白い。CIAに興味がある人なら、なお楽しめよう。



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