『解夏』30点(100点満点中)

エンドロールの歌がメインと感じてしまうようでは……

さだまさし原作の感動恋愛ドラマ。もうすぐ失明してしまう男の子と、その彼女の純愛を描くお話。

歌は良い。長崎の景色もなかなか良い。雨、坂道、造船所の風景、どれも味わい深い。この町を故郷とするものが見たら、ひさびさに里帰りでもしたくなるような映像美だ。

ただ、ドラマは……ちょいと子供じみている。まず、30代カップルとしてはあまりにリアリティがない。70〜80年代ならともかく、現代が舞台でこの健全なムードは厳しい。二人の間には、性愛というものが一切見当たらない。むろん、純愛ファンタジーみたいなものなんだから、そういう突っ込みは無用かもしれないが。ただ、いずれにせよ、このキャラクターたちにいまいち血が通っていないと感じるのは事実だ。

台詞も行動も芝居がかっており、「どうしてそこでそういう事を言うか」と感じることもしばしば。これで泣けというのは無理があろう。全体的に古いセンスの映画だから、若い人の共感を得られるかどうかも微妙なところ。

しかし、歌だけが良くてドラマがおまけという事になると、お客さんは最後の10分間だけ椅子に座っていれば良いということになってしまう。いくらなんでも、それはいただけない。もう少し頑張ってほしい。



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