『タイムライン』60点(100点満点中)
あのロード・オブ・ザ・リング完結編を一部凌駕する迫力映像
タイムスリップ感動もの。SFならではのVFXたっぷりの見せ場が多い、大作感のある一品。印象深い伏線をきっちり張って、ラストで感動させるというタイプの物語は、万人受けするものといえる。
その終盤、泣かせるシーンが連続するが、その多くは「とっくにみんな気づいてたよ……」と言いたくなるほど伏線がわかりやすいので、むしろ客のほうが興ざめしないか心配になるくらいだ。その点、あまりスマートな映画ではない。ストーリーの骨格はよくできているのだから、なにもそんなオオゲサな演出をしなくてもいいのになあと、老婆心ながら思う。これみよがしにアピールしすぎで品がない。まあ、これがこの監督の味といえば味なのだが。ノーテンキなまでの家族愛賛美なので、そういうものを好む方には向くだろう。
サイエンスフィクションとして、タイムスリップに関しての科学的なアプローチをある程度の説得力をもって見せてくれるかと期待したが、それはなかった。極端に言えば、ド演歌風の泣きがあるだけの映画だ。
最大の映像的見せ場となる、投石器などによる攻城戦の場面は、なかなかの迫力だ。つい先日内覧試写で見た『ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還』にも、同じようなシーンがあるのだが、この場面に限って言えば、意外にも『タイムライン』の戦闘シーンの方が迫力があったといえなくもない。効果音も思いっきり派手派手にしてくれているから、例によって音響の優れた劇場を選んで見に行くべきだ。
物語としては、おそらくマイケル・クライトンの小説版を読んだほうが楽しめるのではと感じるが、このスペクタクル映像を味わえる事を加味すると、劇場で見る価値は大いにある。