『ブルース・オールマイティ』50点(100点満点中)

アメリカ向けにチューンされたコメディをどこまで楽しめるか

日本でも人気のあるコメディアン出身のジム・キャリー主演のハートフル・コメディ。この俳優さんは、出演作によってお笑いに徹したり、演技派としてシリアスに徹したりと分かれる人だが、今回はその両面がバランス良く発揮され、どちらのジム・キャリーも楽しめる内容になっている。

極論すれば、彼の主演する映画を楽しめるかどうかは、スマイリー・キクチ並のウソ笑顔を許せるかどうかにかかっているといって良いだろう。OKなら本作も大丈夫。要するに、彼のコメディとしては、及第点に達しているということだ。パロディや物まね、顔芸と、こちらもバランス良く彼のネタ(?)がちりばめられ、楽しませてくれる。

作品の狙いとしては、前半たっぷり笑わせて、ラストにホロリとさせるというものであるが、いかんせんテーマが「結局大事なのは愛なのよ」というお定まりのものであるために、イマイチ成功していない。いつものお気楽娯楽とはいえ、あまりに簡単に先が読めすぎて満腹感が得にくい。

モーガン・フリーマンが神様役という、意外性を狙ったキャスティングも面白い。(アメリカ人にとっての)有名人ゲストの出演も多数ということで、主に国内市場にチューニングされたコメディといえる。こうしたお手軽映画でも、あちらでは大ヒット。なんと続編を除いたコメディ映画としては、史上最高だそうである。

エンドロールにはいつものNG集もあるし、とにかくジム・キャリー好きのための映画。「またいつもの彼の映画を見れて良かったな」と安心することのできる、ファンには手堅い一本といえるだろう。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.