『ジャスト・マリッジ』60点(100点満点中)

充分楽しいティーン向けデート映画

アメリカで人気急上昇中の若手俳優二人を競演させたロマンティック・コメディ。

ハイスクールの放課後、ちょっとシャイな男の子が、あまり目立たないけど実は案外かわいい顔立ちの同級生の女の子を、思い切ってデートに誘ってみる、そんな時のための映画である。一言で言えば、ティーン向けデート映画という事だ。

ひょんな事で恋に落ち、スピード結婚した若いカップルが、ハプニング続きの新婚旅行でだんだん気まずくなってゆく。結婚の現実を思い知り、さあ二人はいったいどうなるか? ……という話である。

金持ちお嬢さんに振り回される貧乏男という、白鳥麗子でございます!的シチュエーションのコメディであるが、この手の映画の良し悪しはもう、俳優の魅力いかんにかかってくるといっても過言ではない。ロマコメは、どうせ結末はひとつなのだから、ようはそこに至るまで、彼らがどれほど楽しませてくれるかが勝負なのである。

その点、『ジャスト・マリッジ』の二人は、文句無しに合格である。とくに、男の子(アシュトン・カッチャー)が素晴らしい。長身でハンサムなのにえらく3枚目で、みっともない演技もバンバンこなす。とても強い印象を残す熱演である。彼は、感じがよくて憎めないナイスガイで、全米で大人気というのもうなづける。

お嬢様役のブリタニー・マーフィも、負けず劣らず良い。今回はバカ女的役どころで、下手をすれば観客の反感を買いがちなのだが、素直で純粋そうな顔立ちのおかげで嫌味がない。もともと美人という感じの人ではないのだが、ハンサムなアシュトンの相手役に、まさにピッタリとはまった。

ドタバタなコメディを楽しく見せるのは非常に難しいのだが、この二人はそれをほぼ完璧に演じた。大したモノである。

音楽も、メリハリのある選曲でとても良いし、デートムービーとしては文句無しだろう。後半の強引な展開は苦笑モノだが、この手の映画にそんな事を言うのは野暮というものだ。



連絡は前田有一(webmaster@maeda-y.com 映画批評家)まで
©2003 by Yuichi Maeda. All rights reserved.