『アマロ神父の罪』60点(100点満点中)

100年以上前の原作を上手く脚色した

カトリック教会を舞台にした禁断の恋を描く、スキャンダラスな恋愛ドラマ。本国のメキシコでは、大変な話題になり、オープニング記録を作ったほどの大ヒット。アカデミー外国語映画賞にもノミネートされた。

100年以上前の原作を、メキシコ一の人気作家が脚色した。ここで描かれる教会の不正行為などは、情報がOPENになっている今となっては大して珍しい事では無いが、それでも飽きずに上手く見せてくれる。

メインストーリーは、神父と少女の肉体的な(=宗教的に禁じられた)恋。聖職者という主人公の職業が、作品のテーマである人生の無常、エゴといったものをより鮮やかに浮きあがらせる。見る前はもっと地味かな、と思っていたが、案外退屈せずに見れた。

ただ、メキシコ人がもっとも驚いたであろう、老婆によるキリスト冒涜の場面は、クリスチャン以外の日本人には、その大変さが良くわかるまい。そうした、宗教の違いによるわかりにくさは、どうしてもこの手の映画にはつきまとう。やはり、現地のメキシコ人ほどには、この映画を楽しめないというわけか。

しかし、それほどわかりにくい映画ではないし、テーマも掴みやすい。キリスト教の事情がある程度わかる方限定とはいえ、なかなか見応えのあるドラマになっている。



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