『マッチスティック・メン』85点(100点満点中)

これこそ完璧な脚本だと唸らせる

神経症気味でチックに悩む詐欺師と、突然現れた14歳の娘を中心に描かれるドラマ。メインキャストの素晴らしい演技力と、恐るべき完成度の高いストーリーで、まれに見る傑作にしあがった。

笑いあり、スリルあり、アクションあり、そして心震わせる感動ありと、『マッチスティック・メン』には、まさにエンターテイメントの全てがある。

このサイトの趣旨に100%合致した、非常にクオリティの高い娯楽映画である。これをみて頂ければ、私がこのサイトの読者の皆さんに、どういう映画をすすめたいのか、どういうポリシーで運営しているかが、きっとわかってもらえると思う。

病的な潔癖症に悩む詐欺師ロイ(ニコラス・ケイジ)は、相棒のフランク(サム・ロックウェル)と仕事のほうでは日々成果を上げている。そんな2人の前に突然現れた、ロイの実の娘アンジェラ(アリソン・ローマン)。14歳のアンジェラに、詐欺師の才能があることがわかった二人は、やがて大きな仕事を計画する。

こだわりのある美術、素晴らしい音楽、観客を驚かせるに充分なプロット、かつ、退屈させないストーリーテリング。最初から最後まで、つまらない所がまったくない、とても楽しい作品だ。

20代後半以降の、少々大人向けな作品である本作を、デートのお供に、あるいは一人で週末の穏やかな時間を過ごす目的にと、ぜひ有効に活用してほしいと思う。『マッチスティック・メン』は、お客さんが大きな満足を得て劇場を出られる、数少ない作品である。



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