『ザ・レース』20点(100点満点中)

実際の競技は凄いのかもしれないが……

アドベンチャーレースという、実在の競技を映画化したフランス製アクション映画。26歳の監督が、昔からTVで中継を見て「映画化したい」と思っていた企画だそうである。

正直な所、「こんなヘンテコな映画にここまでカネをかけるのか」と思う。ギャグはくだらなすぎる上にわかりにくく、マンガチックなドタバタ。悪い意味でフランス映画的。売り物であるはずのスポーツシーンも地味で、期待したほどではない。アドベンチャーレースなる競技の面白さがあまり伝わってこないのは致命的だ。

銃撃戦では、カメラをアップにしたり引いたりと目まぐるしい。目に悪いだけで、ろくに演出効果が上がっていない。俳優達の演技は、なんというか、妙にチープである。

そう、『ザ・レース』を一言で表せば、まさにチープなのである。だが、各アクションシーンを見ていると、決して安くない製作費がかかっている事も良くわかる。だからこそ、この映画には哀愁が漂う。映画作家の情熱が溢れているのが良くわかり、好感は持てるものの、その意気込みはときに勇み足となって、キテレツな作品を生み出してしまう。本作はまさに、その典型例のような一本だ。



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