『ロボコン』50点(100点満点中)

もうちょいスマートにできなかったものか

高等専門学校ロボットコンテスト(これを略してロボコン)を題材にした、青春ドラマ。

この競技を映画にするというアイデアは、なかなか良かったと思う。ただ、せっかく真新しい題材を得たのだから、もうちょい上手く料理していたらな、と惜しい印象もうけた。

『ロボコン』は、少々マジメ過ぎるのだ。カメラワークはNHKだかのロボコン中継を見ているようで地味だし、若い役者たちの演技はみな優等生っぽいしと、なんだか『中学生日記』みたいな、文部省ご推薦映画をみているような印象である。

ほろ苦い青春ものにするのか、感動ドラマにするのか、恋愛ものにするのか、スポ魂にするのかだけでも、もうちょいはっきりとしたほうが、ずっと売りやすいだろうに、と老婆心ながら思った。

あるいば、ロボコン自体をもっとド迫力に、カッコ良く演出することも出来ただろう。そうすりゃロボコンももっと流行して、この映画を見てこの競技を目指す若者なんてのも出てくるかもしれないのだが。ただ、それでも、見せ方が地味なだけで、作中の競技シーン(とくに全国大会)のアイデアはなかなか良かった。

ちなみに本作が出世作となった長澤まさみは、これで演技の楽しさを知ったので、一番思い入れがあると語っている。彼女のファンにとっても、一番かわいい長澤をみるなら『ロボコン』というのが一つの共通点としてあるようだ。

あまりに作り手がマジメすぎるのか、みていて恥ずかしくなるセリフや場面がちょくちょくあるのが玉にキズだが、逆にいえば誰に見せても拒絶されることの無い、無難な映画でもある。もうちょいスマートなドラマにしてくれたら、もっと良くなったとは思うが、まあ悪いというほどではない。やや低めの年齢層向きの作品だが、ロボコンに興味のある方ならぜひどうぞ。



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