『ナイン・ソウルズ』60点(100点満点中)

個性的で万人向けではないが、見て損はない

9人の脱獄囚が、それぞれ生きる目的をつかむまでをユーモアを交えて描く、ヒューマンドラマ。

原田芳雄やマメ山田、松田龍平といった、個性派の役者たちがいい味を出しているドラマで、こちらを笑わせたり泣かせたり、安定した演技で見せてくれる。

松田龍平君は、相変わらずセリフを話すと危うい感じだが、表情には独特の雰囲気があり、なかなか悪くない。脇役では、グラビアアイドルから女優になってブレイク気味の伊東美咲が、ストリッパー役で出演しているのがちょっとした話題である。スレンダーなボディで、隠微なストリップダンスを披露してくれるシーンは必見だ。

ギャグが独特で、ついて行ける人を選びそうな点と、この監督が『東京=閉塞感の象徴=マイナスイメージ』と捉えているその点に共感できるかどうかという点、作品内での主張を、安易に登場人物にナレーションで語らせているのを許せるかどうかという点が、この作品を楽しめるかどうかの分かれ道だろう。

120分という、長めのドラマだが、見所の多い個性派映画だ。地味でも、ちょっと変わった作品を見てみたい方にすすめたい。



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