『ミニミニ大作戦』60点(100点満点中)

可もなく不可もない、ごく普通の週末ムービー

イギリスの自動車メーカー、ローバー社の人気小型車、MINIが大活躍する、カーアクション・ムービー。同名作品のリメイクになる。本作では、(ローバー社が買収されたため)BMWが製造する新型ミニ・クーパーが登場する。

ストーリーは単純で、50億円相当の大量金塊を、主人公率いる窃盗チームが盗み出すという話。

「狭い所でも走れる超小型車で、建物内へ突入する計画」がミソというわけだが、その肝心の突入計画が実行直前でボツになるという、よくわからない展開のおかげで、観客は「アンタたち、いまさらミニを使う理由がどこにあるんだ?」 と突っ込みたくなる事、間違いない。

だが、おそらくこの映画に10兆円くらいは出資しているであろうBMW社の役員にしてみれば、わが社の新型ミニが活躍してくれないと困るのだから仕方が無い。

実際、『ミニミニ大作戦』をみると、ミニが欲しくなるという副作用がもれなくついてくる。私自身、次の愛車はフェラーリF50あたりを考えていたが、この映画を見てやっぱりミニにしようと考えを改めた。でも、その前に今乗っている10年前のスクーターをあと10年くらいは乗ると思うが。

ヒロイン役は、長身美女シャーリーズ・セロン。彼女は、私的には典型的ハリウッド美人という印象の女優だが、この映画には、黒ブラ姿を覗き見られて恥ずかしがるという、とてもキュートなシーンがある。間違い無くあれで、新規ファンを一万人くらいはゲットしたであろうと思う。

ほかの窃盗仲間の一人にエドワード・ノートンという男がいるが、この配役などは、非常に親切だ。なぜなら、顔をみただけで誰もが、こいつは必ず裏切るなと分かる仕組みになっているからである。もちろん、そのように話は進行する。

『トランスポーター』で主演したジェイソン・ステイサムは、現在のハリウッドの3大ハゲスターとでもいうべきひとりだが、この映画ではハンサム過ぎて、話しかけるだけで女が自動的に股を開くという、すごい役をやっている。プレーボーイ役ばかりやる彼は、世界各国の薄い人々の希望の星だ。

クルマによるアクションシーンはそこそこに迫力があるし、前述したとおり俳優陣も豪華。130億円もかけているから、音楽も映像も一級品。シネコンなどの新しい映画館見たら、きっと楽しい体験ができるはずだ。特に、車好きの女の子、男の子にはピッタリ。

ただ、二人とも鑑賞した数日後には、早くも内容をきれいさっぱり忘れているであろうことも、想像に難くない。そんな映画である。



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