『ドリームキャッチャー』55点(100点満点中)

キングの小説世界を忠実に再現したホラー大作

スティーブン・キングが原作の、オカルトホラー。といっても、予告編だけではジャンルすら特定できないと思った人は多かっただろう。テレビ版の予告ではそうでもないが、劇場版の予告は本当に意味不明だった。

『ドリームキャッチャー』は、自分の原作映画を絶対誉めない事で有名なS・キングが、「今までの私の小説の映画化では1番いい」とまでいったという、とんでもない映画だ。

確かに、彼の小説の持つあの独特の雰囲気、どこかこの世から隔絶されたような不思議な世界(実際、メイン州とはいえ舞台は架空の街なのだが)を、この映画は非常に忠実に映像化していると感じる。私もキングの小説のファンだから、これはよくわかる。

ただ、もうちょい人間賛歌というか、キング小説の魅力である人間ドラマの部分を見せてくれたらなあという感じはある。ただこれは、もしかしたら私が字幕で見たから、イマイチ感じられなかっただけなのかも知れない。

この小説を読んでない人のために、この映画の特徴を伝えると、一言で言えば「スタンド・バイ・ミー」と「サイン」をあわせたような映画、つまり、男の友情ドラマとエイリアン侵略を融合させた映画である。この両方の映画のどちらかが嫌いな方は、ちょっとこれもダメかもしれない。

どっしりとした映像の質感は大作感たっぷりで、軍用ヘリの戦闘シーンなどの派手な見せ場もあり、それなりに楽しめる。登場人物にも自然に感情移入出来る。前半にはちょっとショックな映像もあるので、見て損はないと私は思うのだが。

まあ、ジャンルがジャンルだけに人を選ぶ。そのへん、よくよく考えてご鑑賞を、といっておこう。



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