『ブラック・ダイヤモンド』40点(100点満点中)

ジェット・リーに精彩がない凡作

日本でも人気のあるアクションスター、ジェット・リーが主演のアクション映画。ストーリーは2の次で、アクションだけを見せるという、典型的ハリウッド作品である。

ところが、その肝心のアクションが平凡。ジェット・リーは、中国の武術大会のチャンピオンになったこともある『本物』だが、『ブラック・ダイヤモンド』では大したアクションをみせてくれない。

テレビCMでも流れてた、ビルを素手だけで飛び降りて行くあのシーンも、所詮はCGを使ったトリック撮影。『チャーリーズエンジェル』あたりの映画で、普通の女優がアレをやるなら面白いが、『本物』たるべきジェット・リーがやっても驚きはない。

この映画には戦車も出るし、ヘリも出るし、バイクアクション、カースタントもある。軍事要素からファミリードラマ要素まで含めてしまうという、娯楽要素の盛り合わせみたいな欲張りな作品だが、どうも力の入れどころを間違っているようにも見える。

ジェット・リー主演映画には、なにもそうした派手な爆発や戦車など要らないのではないか?無論あってもいいが、それよりは、全盛期のジャッキー・チェンのような、ガチンコアクションを、観客は見たいのではないのか?

少なくとも、誰にでも出来るようなぬるいアクションしか見せていないこの映画を、高く評価は出来ない。それを補うドラマ性があればまた話は別だが、それはもっと期待できない。



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