「花と蛇 ZERO」55点(100点満点中)
監督:橋本一 出演:天乃舞衣子 濱田のり子

うまくマンネリを打破した

もはや何匹目のどじょう、いや蛇なのかわからぬほど繰り返し映画化されてきた団鬼六「花と蛇」だが、こうした作品群を監督する人も大変だろうと思う。なにしろ杉本彩が過激さではすでに頂点を極めてしまっている。いったいその後に何を付け足せばいいというのだろう。

女性を監禁・調教する闇SMサイト。そこで人気の人妻・静子(濱田のり子)は夫の借金のカタにはめられたということだ。そしてそのサイトの過激さに、ズブズブとはまる欲求不満の主婦・瑠璃(桜木梨奈)。さらには違法行為を見逃す気のない女性警部・雨宮美咲(天乃舞衣子)。3人の運命は、やがて闇サイトを交点に激しく交わっていく。

さて「花と蛇 ZERO」だが、トリプルヒロインでマンネリ打破に挑むコンセプトを持ってきた。清楚な静子さんが縛られ落ちていくおなじみの展開はそのうち一つにさらりと潜り込ませ、残り2名のお色気担当で楽しませながら、驚愕のどんでん返しに持っていく荒技を見せてくれる。

なるほど、これはなかなか新鮮だ。静子さんだって、何度も何度も一人で変態道に落とされるんじゃ大変だろうし、いまでは静子と聞いただけで、誰もがドM女を想像するなかば代名詞みたいなもの。静子調教といえばもはや伝統芸能の域である。

そう思いつつ見ると、まず静子役はネームバリューもある濱田のり子。熟女だが引き画面では他の二人に引けを取らぬプロポーション。写し方に気を使ってはいるのだろうが、伝統的花と蛇ヒロインとして安定感がある。相手役の腰のグラインドを易々と受け入れる熟女らしい老練な濡れ場が見所だ。

続いてエロ主婦役の桜木梨奈は90年生まれと、3人では一番若いがぽっちゃり系。若くないぽっちゃり系はマニアックすぎるし、かといってプロポーション良すぎな若手は他の二人と著しくバランスを欠く恐れがあるので、これは妥当なキャラ設定だ。

彼女は途中からギャグ担当というべき浮き世離れした変態道へと進んでいくが、下半身のエロさは特筆に値する。テーブルの角に陰部をすり付け、パソコンをなめまわしながら絶頂に達する場面は、もはや笑うしかない名演技といえる。桜木梨奈得意のダンスで鍛えた柔らかな腰づかいが見事だ。

もっともプロポーションがよいのはもうすぐアラサーの天乃舞衣子で、強気な女刑事の役だ。電話で誘導され、自慰行為をさせられてしまうシーンがなかなかリアル。ホントは自分でもやりたかったんだろうなと思わせるだけの説得力がある。

痩せているのに胸だけDカップはあろうかというお椀型で、スクリーン映えするヌードである。アクションも素養があるのか、動きが素人離れしている。均整のとれた肉体が躍動する姿は美しい。

こうしたエロシーンにおける女たちはそこそこリアルなのに、ドラマ部分はあきれるほどいいかげんでまた笑える。

とくにこの映画、「相棒」シリーズで知られる橋本一監督なのだが、冗談かとおもうほど刑事モノとしてのリアリティがない。とくに全裸の女刑事が、まるで22口径のようにデザートイーグルを振り回すシーンでは、さすがにこらえきれず笑いが漏れた。さすがにあれはわざとやっているのだろう。。

ともあれ、緊縛シーンもさほどマニアックに走らず、歴代「花と蛇」のなかでは普通の人が普通に楽しめる穏やかな作風。裸以外には一切期待せず出かけると、その他もなかなかいけるじゃん、となる。そんな一本といえるだろう。

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この大ヒットのおかげで今があるという。
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濱田さんです、きれいです。セイントフォーでamazon検索しても何も出てこないんですねぇ。


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